世界名作探訪

小説のあらずじ・感想を思いつくままに書き綴ります

モンテ・クリスト伯⑤ ヴァランティーヌの結婚騒動

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モンテ・クリスト伯の第五巻(岩波文庫)はヴァランティーヌの結婚問題と彼女の周りで起こる不審な死亡事件を中心に話が進みます。モンテ・クリスト伯の出番が少なく、途中で誰が主人公だったか忘れてしまいそうですが、あくまでもモンテ・クリスト伯の復讐劇です。

 

また、モルセール伯爵がなぜ漁師から貴族に成り上がることができたのか、彼の秘密もだんだん分かってきますよ。

 

 ヴァランティーヌの結婚問題

ヴァランティーヌはフランツ・デピネーと婚約してることは前回の第四巻でお話ししましたね。彼女は本当はマクシミリヤン・モレルと結ばれたいと思っています。ところが父親のヴェルフォールが強引にフランツとの婚約を進めようとしています。

 

こうした中、ヴァランティーヌの母方の祖父母サン・メラン侯爵夫妻が、孫娘の結婚問題について話をするためマルセイユからパリのヴィルフォール家に向かいます。ところが侯爵は旅の途中で丸薬を飲んで急死してしまいます。サン・メラン侯爵夫人だけがヴィルフォール家にやってきますが、彼女も部屋でオレンジジェードを飲んだ後、体調を崩してしまいます。(オレンジジェードがジュースのことなのか、よくわかりませんでした・・・) 

 

サン・メラン侯爵夫人は自分の行く末が長くないことを悟り、自分の全財産がヴァランティーヌに相続されるよう取り計らいます。そしてフランツとの結婚を急いで進めようとします。

 

フランツがイタリアからパリにつき次第、結婚契約書に署名することが決まりました。ヴァランティーヌは庭の柵に隠れていたマクシミリヤンにこのことを告げます。二人は署名する前に駆け落ちして家から逃げることを誓います。

 

とうとうフランツがヴィルフォール家を訪れ、結婚契約書にが署名する日が来ました。マクシミリヤンは駆け落ちするため約束通り待ち合わせの場所を訪れます。ところが彼女はいつまでたってもやってきません。マクシミリヤンがしびれを切らし柵を越えて庭に隠れていると、ヴィルフォールと主治医のダウリニーがやってきます。そしてサン・メラン侯爵夫人がなくなったとの会話を盗み聞きします。このため婚約が延期されたのでした。

 

マクシミリヤンはヴァランティーヌと会うため、屋敷の中に侵入し、サン・メラン侯爵夫人の亡骸の傍らですすり泣く彼女を見つけます。

 

ヴァランティーヌはマクシミリヤンを祖父ノワルティエの部屋につれていきます。マクシミリヤンは二人で駆け落ちをしようとしている計画を老人に告げますが、彼は反対します。ノワルティエの指示は、自分に考えがあるのでそれを待てということでした。マクシミリヤンは彼を信じ屋敷を後にするのでした。

 

サン・メラン侯爵夫妻のお葬式が終わると、ヴィルフォールはこの後すぐに結婚の契約を取り交わすことにします。公証人デシャン、フランツの証人としてアルベール、シャトー・ルノー、そしてヴィルフォール夫人と息子のエドゥワールが見守る中、結婚の署名がはじまります。ところがその最中、ノワルティエの家令バロアが現れこう告げます。「ノワルティエさまがフランツ様とお話しを申し上げたいとおっしゃられておいでです!」

 

ヴィルフォールは断りますが、フランツはその申し出を受け入れ、ノワルティエの部屋を訪れることを決意します。フランツはノワルティエの彼に対する反感がいかに間違っているか証明しようと考えたのです。ところがノワルティエが語った話は、フランツが予期しないものでした。その結果この縁談は破談となります。どんな話だったかは小説を読んでくださいね。

 

こうしてヴァランティーヌは危機一髪のところでフランツとの婚約を免れたのです。でもフランツが可哀そうですね。彼は何一つ悪くないのですから。

 

モルセール伯の人に言えない出世物語

 

もう一方の婚約話、モルセール家の息子アルベールとダングラール家のユージェニー嬢との間にも不穏な空気が流れています。もともと若い二人が互いに関心がなかったことに加え、ダングラールの気持ちがモルセール家から離れてしまっていたのです。

 

ダングラールはモンテ・クリスト伯のたくらみで徐々に資産を減らしていました。そこで大資産家との噂のあるカヴァルカンティ家のアンドレアと娘を結婚させようと企んでいたのでした。ダングラールはモルセール家との婚約を破談にさせる口実を探していたのです。彼はモンテ・クリスト伯にモルセール伯が本当の貴族ではなくもともとはフェルナン・モンデゴという名の漁師だったこと、彼の出世がアリ・パシャ事件と何やら関係があるらしいとの噂がある事を漏らします。

 

モンテ・クリスト伯は「ジャニナ(現ギリシャのヨアニナ)にある取引先に手紙を出し、アリ・パシャが没落したとき、フェルナンという名のフランス人がなにをしていたのか確かめてもらえばよい」と入れ知恵をします。

 

ちなみにアリ・パシャ(=アリ・テブラン)というのはテぺデレンリ・アリー・パシャとのいう名の実在の人物です。オスマン帝国内のヨアニナを領地として半独立国のように振舞っていたのですが、最後はオスマン帝国のスルタン・マフメト二世により毒殺されてしまいます。

テペデレンリ・アリー・パシャ - Wikipedia

 

モンテ・クリスト伯の女奴隷エデはこのアリ・パシャの娘として小説に登場します。エデはアリ・パシャがフランス人士官の裏切りにより殺さ頃された後。奴隷商人に売られてしいますが、モンテ・クリストが彼女を買って助けたという訳です。

 

話を戻しますが、モルセール伯はダングラールの態度が一変し、この結婚に否定的な態度をとるようになったことに驚きます。ダングラールは決してその理由を言おうとしないどころか、「これ以上説明しないことを、むしろ感謝してほしい」とまで言うのです。

 

ほぼ時を同じくして、アルベールの友人ボーシャンが編集長を務める新聞にジャニナの要塞は、アリ・パシャが信頼していたフェルナンという名のフランス人士官の裏切によりトルコ軍に引き渡された」という記事が掲載されます。

 

新聞には「フェルナン」としか書かれていませんでしたがアルベールは自分の父親が侮辱されたと考え、ボーシャンに記事の撤回か、さもなくば決闘を求めます。

 

ボーシャンは事実の確認をするため三週間の猶予がほしいと願いますが、もし本当のことだったら記事の撤回はせず、アルベールの決闘の申し出を受け入れると話すのでした。

 

三つの殺人事件

最後にもう一度ヴィルフォール家に話を戻します。

 

フランツとの結婚が破談となって喜んだのはヴァランティーヌだけではありません。実は継母のエロイーズも内心ほっと一息ついていたのです。というのはのノワルティエはもしフランツとヴァランティーヌが結婚するなら自分の遺産を全て貧しい人に分け与えると遺言に残していました(第四巻)。破談によりノワルティエは財産を全て孫娘のヴァランティーヌに与えるよう遺言を変更したのです。財産を実の息子のエドゥワールに分けたいと思うエロイーズにとっても、この破談は都合の良いものだったです。

 

さて、もう一人大喜びしているのがマクシミリヤンです。彼はノワルティエに呼ばれ大急ぎでヴィルフォール邸にやってきます。ヴァランティーヌはノワルティエとこの屋敷を出ること、そしてマクシミリヤンとの結婚について話をします。マクシミリヤンは天にも昇る気持ちです。ところがその最中家令のバロアが倒れ、もがき苦しみ始めました。彼はのどが渇いたため、ノワルティエのために作られたレモネードを飲んでしまったのです。バロアは苦しみながら死んでいきました。

 

主治医ダウニーはヴィルフォールに、サン・メラン侯爵夫妻とバロアの死は病気ではなく毒を使った殺人だということ、バロアの死は、本当の狙いはノワルティエであったことを告げます。そして三人の死で得をする人物がこそが犯人であり、意外な人物の名を挙げます。それは三人の遺産を全て相続する人物、ヴァランティーヌだというのです。

 

今日はこの辺で、続きはまた。

モンテ・クリスト伯〈5〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈5〉 (岩波文庫)

 

 

モンテ・クリスト伯④ それぞれの家族事情を説明します

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モンテ・クリスト伯の第四巻(岩波文庫版)は、伯爵の3人の敵、ダングラール、モルセール伯(フェルナン)、ヴィルフォールの家族を中心に話が進みます。三つの家族はそれぞれに問題を抱えながら、お互いが複雑に絡み合っています。その事情に付け込んでモンテ・クリスト伯はじわりじわりと家族に忍び寄るといった話です。今回は三つの家族、そしてカヴァルカンティなるインチキ貴族の話を中心にあらすじをご紹介します。

 

あらすじ

1.ヴィルフォール家のごたごた

ヴィルフォールには二人の子供がいます。一人は19歳の娘ヴァランティーヌ。彼女はヴィルフォールの前妻ルネとの間にできた子供です。ルネは第一巻にヴィルフォールの婚約者、サン・メラン侯爵の娘として登場しましたね。ところがその後ルネは死んでしまい、ヴァランティーヌは家族の中で孤立した存在となっています。

もう一人の子供が、ヴィルフォールと後妻のエロイーズとの間にできたエドゥワールです。彼は母親から溺愛されて育てられたためか、わがままで意地悪な少年です。(飼っているオウムの羽を抜いたり、インクを飲ませようとしたり・・・)

ヴァランティーヌは継母のエロイーズから憎まれており、肩身の狭い生活を送っています。何故かというとヴァランティーヌは母方のサン・メラン侯爵から莫大な遺産を相続することになっており、財産のないエロイーズは面白くないのです。「あの娘さえいなければ、サン・メランの遺産はいずれは息子エドゥワールのものになるのに・・・」と内心考えているのです。

またエロイーズはモンテ・クリスト伯から熱心に毒薬の話を聞き出します。毒薬に興味を持つ貴婦人というのはいささか不自然な設定ですが、これが後の事件の重要な伏線となっている訳ですね。面白さが半減するといけないのでこれ以上は触れません。

ちなみに途中でポントス王(今のトルコの一部)ミトリダテスの話がでてきすが、ミトリタデス6世のことで、世界で最初に解毒剤を作った人といわれています。ミトリダテスは自分が毒殺されないよう毎日少しづつ毒を飲み免疫を付けたそうです。最後は息子に裏切られ服毒自殺を図るのですが、免疫効果で死ねず部下に刺殺させたというオチです。また彼はモーツアルトのオペラ「ポントの王ミトリダーテ」の主人公でもあります。悪ガキのエドゥワールまで知っているくらいなので西欧では有名な話なのかもしれませんね。 

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話が戻りますが、ヴィルフォールは年頃となった娘のヴァランティーヌをフランツ・デピネーと結婚させようと考えています。ところがヴァランティーヌは気持ちがのりません。というのも彼女には恋人がいたのです。それは船主モレル氏の息子マクシミリアンでした。彼女は父親にそのことを言い出せずにいます。

第一巻で登場したヴィルフォールの父親ノワルティエは熱烈なナポレオン派で王党派の息子と対立していましたが、今や中風で全身不随の状態です。彼は目の動きだけでコミュニケーションをとり、その意味を解するのは息子のヴィルフォール、孫娘のヴァランティーヌ、老僕のバロワだけです。

ノワルティエはヴァランティーヌに特別な愛情を注いでいるのですが、フランツとの婚約を知って怒りを露わにします。実はフランツの父親は王党派のケネル将軍で、ナポレオン派に暗殺された人物です。そしてナポレオン派のノワルティエは彼の死に関与しています。この辺の話は第一巻に出てきましたね。そのためノワルティエはケネル将軍の息子との結婚に強く反対したのです。彼はヴァランティーヌをフランツと結婚させるなら、彼の遺産を家族の誰にも相続させず、貧しい人に全額寄付するという遺言書を作成してしまいます。

ちなみにノワルティエの遺産は90万フラン。1フラン=1000円で計算すると9億円です。ヴィルフォールは大金を失うことになりますが、それでもフランツとの婚約を推し進めようとします。

以上が第三巻で描かれるヴィルフォール家のすったもんだです。

2.モルセール家のごたごた

モルセール伯とメルセデスの息子アルベールにも婚約の話があります。こちらのお相手はダングラールの娘ユージェニーです。ところがこちらのカップルも結婚に乗り気ではありません。ユージェニーは美しい娘ではありますが、性格が強く芸術家肌の一面があり、アルベールの好みではないようです。

またアルベールの母親メルセデスもこの結婚には気が進みません。彼女はユージェニーの父親ダングラールが嫌いなのです。アルベールは母親を悲しませないためにもこの結婚を破談にしたいと考えており、モンテ・クリスト伯に悩みを打ち明けます。

3.ダングラール家のごたごた

ダングラールの娘ユージェニーもアルベールとの結婚を拒んでいます。というか彼女の場合は自立心の強い女性で結婚自体に関心がないようです。

また妻のエルミーヌは大臣秘書官のドブレーと不倫関係にあります。このドブレーが誤った情報をダングラールに伝えたためダングラールは株で70万フラン(約7億円)の大損を出してしまいます。誤った情報を流したのはモンテ・クリスト伯の陰謀だったのですが、ダングラールは知る由もありません。彼はエルミーヌに八つ当たりし、失った金の一部を補填しろと滅茶苦茶な難癖をつけ、夫婦喧嘩になります。

実はエルミーヌには誰にも言えない秘密があります。ダングラールと結婚する前、ヴィルフォールと不倫関係にあったのです。彼女は不義の子供を産みますが、死産と思いヴィルフォールが庭に埋めてしまいます。この話は第二巻にでてきましたね。その現場を今はモンテ・クリスト伯の家令を務めるベルツッチオが目撃し、子供を奪ってベネディクトと名付けて育てたという話でした。そして成長したベネディクトは育ての母親を殺して行方をくらましたのでした。

4.カヴァルカンティ親子

カヴァルカンティの名はダンテの神曲にも登場します。ダンテは友人だった詩人のグイド・カヴァルカンティの父親を神曲の中に登場させ、なぜか地獄に落としています。その理由は神曲の中には記されていませんが、どうやら生前は無神論者だったため地獄行きとなったようです。

モンテ・クリスト伯の物語には二人の親子、バルトロメオ・カヴァルカンティとアンドレア・カヴァルカンティが登場し、神曲に登場するカヴァルカンティの子孫で名門の出身ということになっています。ところが実際は、全くの偽物で二人は貴族でもなければ親子でもありません。 バルトロメオブゾーニ司祭に、アンドレアはウィルモア卿から大金をもらって名門カヴァルカンティを演じているだけなのです。(もちろんブゾーニ司祭もウィルモア卿も、モンテ・クリスト伯の変装ですが)

この二人は何のために大金で雇われ、名門一族を演じさせられているのか全く理解していませんが、モンテ・クリスト伯からパリの社交界に大資産家として紹介されます。株で大金を失ったばかりのダングラールはさっそく彼らに取り入ろうとし、ビジネスの話をしだします。

ところでこの二人のうち重要なのはアンドレアです。彼はいったい何者のか?この第三巻で一番面白いところなのであえて伏せておきます。ぜひ本を読んでご自分の目で確かめてくださいね。

5.オートゥイユの別荘で晩餐会

モンテ・クリスト伯はパリ郊外のオートゥイユの別荘にパリで知り合った人たちを招き晩餐会を開きます。紹介された9名は以下の通り。モルセール家がいないのは、アルベールがダングラール家に会うのを嫌がったため、モンテ・クリスト伯の粋な取り計らいで免除されました。)
ヴィルフォール夫妻
ダングラール夫妻
カヴァルカンティ親子
マクシミリヤン・モレル
ドブレー
シャトー・ルノー
家令のベルツッチオは人数を確認するためサロンにこっそり顔を出しますが、そこで見た顔に腰を抜かすほど驚愕します。彼はいったい何を見たのでしょう?ここも面白いところなので伏せておきます。


第三巻はだいたいこんなお話しです。他にもモンテ・クリスト伯がモレル家を訪れた時の心温まる話など小話が盛沢山です。若干話が複雑なので、全7巻の中で最も読みにくいところかもしれませんが、最後のクライマックスにつながる大事な伏線が多いので、頑張って読んでみてください。

今日はこの辺で。

 

モンテ・クリスト伯〈4〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈4〉 (岩波文庫)

 

 

モンテ・クリスト伯③ 憎き仇敵との再会

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ブログを始めて4回目の投稿となりますが、こんなに文章を書くのが大変だとは思いませんでした。読んだばかりの本ならすぐに書けるかと思いましたが甘かった!もう一度最初から読み直す羽目に・・・。

 

それと文章の手直しに時間がかかります。なるべく完結な文章にしようと心がけているのですが、ついつい長くなってしまうんですよね。全体のストーリーを保ちながら、どの部分を省略するのか試行錯誤です。毎日アップしている人はどうやっているんでしょうか?本当に感心してしまいます。

  

でも今日も頑張って書きますよ。モンテクリスト伯第三巻(岩波文庫版)です。

 

◆あらすじ

 

1・アルベールの誘拐

 フランツはモンテ・クリスト伯がモンテ・クリスト島で出会った”船乗りシンドバッド”であることに気づきます。ところが伯爵はそのことに何も触れようとしません。不信に思いながらもフランツは伯爵の申し出を受け入れ、謝肉祭の馬車を借りることにします。

  

謝肉祭の狂乱の中フランツとアルベールは馬車に乗り込み町を行きかいます。その最中アルベールは田舎娘に扮した女性に心を奪われ、二人で会う約束を取り付けます。有頂天になるアルベール。ところが彼女はベッポという名の少年で、山賊ルイジ・ヴァンパの手先だったのです。

 

アルベールは山賊に誘拐されてしまいます。フランツのもとにルイジ・ヴァンパから身代金を要求する手紙が届きますが、手持ちの金はありません。フランツはモンテ・クリスト伯に助けを求めます。彼ならヴァンパと知り合いであり、アルベールを助けることができると考えたのです。伯爵はフランツが自分とヴァンパの関係を知っていたのに驚きますが、アルベールを救出することを了承します。

 

二人が山賊のアジトに赴くと、ヴァンパは伯爵の友人を誘拐してしまったことを謝罪し、アルベールを解放します。モンテ・クリスト伯のおかげでアルベールの命が助かったのです。

 

フランツは伯爵が山賊と関わり持っていることに懸念を抱きますが、命を助けられたアルベールは伯爵に心酔するようになります。そして彼をパリ社交界に紹介するため、三か月後にパリで再会することを約束するのでした。

 

2.パリへ、そしてフェルナン、メルセデスとの再会

モンテ・クリスト伯は約束通り3か月後にパリのアルベール邸を訪れます。アルベールの父親モルセール伯は、息子を山賊から助けてくれたことに対し感謝の意を示しますが、この男こそダンテスを牢獄に送るきかっけとなった男フェルナンだったのです!

 

続いてアルベールの母親メルセデスが現れますが、彼女はモンテ・クリスト伯の顔を見るなり青ざめてしまいます。彼が昔の許嫁ダンテスではないかと気づいたのです。そして息子にモンテ・クリスト伯には用心するようにと忠告し、深い物思いに耽るのでした。

 

3.ヴィルフォールの秘密

モンテ・クリスト伯はパリ近郊のオーティユに別荘を買います。ところが家来のベルツッチオはその別荘の名を聞くだけで戦慄してしまいます。実はかつてこの屋敷には検事総長ヴィルフォールが住んでおり、ベルツッチオは彼を殺すため屋敷の庭に忍び込んだことがあったのです。ベルツッチオはヴィルフォールから冷たい仕打ちを受けたことがあり、彼をに憎んでいたのでした。ベルツッチオはヴィルフォールの命を狙いナイフで襲います。ヴィルフォールは一命をとりとめましたが、土の中に隠した箱をベルツッチオに見られ、奪われてしまいます。

 

ベルツッチオが箱を持ち帰ると、中には生まれたばかりの赤ん坊が入っていました。この子はヴィルフォールが不倫相手(のちのダングラール夫人)に産ませた子供で、彼は不義の子を殺し、庭に埋めようとしていたのです。

 

後にベルツッチオと義理の姉アスンタは赤ん坊を引き取りベネディクトと名付けて育てます。ところがこのベネディクトは悪魔のような少年に成長し、育ての親であるアスンタを焼き殺して家を出てしまうのでした。

 

4.ダングラールとの再会

モンテ・クリスト伯は銀行家として名を成したダングラールのもとを訪ねます。伯爵は自分の財力を見せつけた上、無制限貸出を申し出て銀行家を驚かせます。

 

またダングラールの妻エルミーヌは彼女の自慢の馬が厩舎にいないのに気づきます。彼女は明日ヴィルフォールの妻エロイーズに馬を貸すことになっていたのですが、今朝破格の値段で買いたいとの申し出がありダングラールが彼女に黙って売ってしまたのです。夫婦喧嘩になりますが、実はその馬を買ったのモンテ・クリスト伯でした。伯爵はエロイーズに馬を返し、彼女からも信頼を得ます。

 

5.ヴィルフォールとの再会

翌日ヴィルフォールの後妻エロイーズは溺愛する息子のエドワード一緒にエルミーヌから借りた馬で出かけますが、馬車は暴走しモンテ・クリスト伯の黒人奴隷アリに助けられます。

 

ヴィルフォールは妻と息子を救ってくれたお礼を告げにモンテ・クリスト伯の屋敷を訪れますが、モンテ・クリスト伯の傲慢な態度に驚きます。彼は一つの野心を持っておりそれは神の摂理を実現することだというのです。(ヴィルフォールには分かりませんが、これは罪あるものに復讐を遂げることを暗に示しています。) 

 

その言葉を聞きヴィルフォールは自分の父親ノワルティエの話をします。かつてボナパルト派として権勢を握った人物でしたが、中風にかかり全身不随になっていたのです。ヴィルフォールは父親が神のおきてに背いたため、その罪として罰を落とされたのだと話し、モンテ・クリスト伯の屋敷を後にするのでした。

 

◆感想

ようやくモンテ・クリスト伯の登場ですね。計算に計算を重ね、モルセール家、ダングラール家、ヴィルフォール家に入り込もうと画策します。でもいくら何でも誰もダンテスだと気付かないのは不自然ですよね。さすがに元カノのメルセデスだけは気づいた様子ですが「だったらダンナのフェルナンに教えてやれよ!」と突っ込みたくなります。復讐の鬼が家族に迫っているんだから。

 

それとモンテ・クリスト伯は初対面であるはずのダングラール、ヴィルフォールに、ありえないような失礼な発言を連発します。もちろん根底に深い憎しみがあるのですが、どっちが悪人だかわからないような場面もあり、主人公に感情移入しにくいのです。

 

 モンテ・クリスト伯の部下に対する態度もブラック企業並みです。伯爵の命令を受け、アリが命を懸けてエローイーズとエドワードの親子を助けたのに、エロイーズがお礼を言おうとすると「お褒め言葉やお礼でアリを甘やかさないでください」「あれは私の奴隷なのです。私に仕えることがあれの義務です」「あれの命は私のものなのです」ってちょっとひどすぎだろー!と思います。ベルツッチオに過去のいきさつを白状させる場面もいじりながら楽しんでいるようですね。

 

なんだか変なキャラに変身してしまった旧ダンテスことモンテ・クリスト伯。いろいろ突っ込みながら楽しめるのも、この小説の魅力なのです!

  

 今日はこの辺で。

 

モンテ・クリスト伯〈3〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈3〉 (岩波文庫)

 

 

モンテ・クリスト伯② 脱獄、そして宝の島へ

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hirozonは仕事柄、よく出張先でキャバクラに連れていかれます。でも苦手なんですよ。女の子と話しをするのが。だって「モンテ・クリスト伯がねぇ〜」とか言ったってドン引されるだけでしょう・・・と思ったらそうでもないみたいです。 結構知ってるんですよ。テレビドラマのおかげで。

 

hirozon「最近モンテ・クリスト伯を読んでてね・・」

女の子「あっ!私もテレビで見たよ〜。本では主人公の名前は何ていうの?」

hirozon「エドモン・ダンテス」

女の子「テレビでは柴門暖(さいもんだん)だよ。似てるね!」

hirozon「ファリア司祭も出てくる?」

女の子「ファイリア真海!まったく同じだね。」

 

・・みたいな他愛もない会話で場をしのぐことに成功。 ということでモンテ・クリスト伯はキャバクラでも役に立つのです。 「ありがとうモンテ・クリスト伯!ありがとうディーン・フジオカ!」

 

モンテ・クリスト伯を読んで「いざ、キャバクラ!」

 

さて、今日は第二巻(岩波文庫版)のご説明です。

 

◆主な登場人物

  • ダンテス:脱獄後、モンテ・クリスト島で宝を見つけ巨万の富を得る 
  • ブゾーニ司祭(ダンテス):カドルッスを訪ねダンテスが死んだことを告げる
  • イギリス人商人(ダンテス):破産寸前のモレルを窮地から救う
  • 船乗シンドバッド(ダンテス):フランツを地下宮殿に招く

 

  • ファリア司祭:獄中で病死。宝のありかをダンテスに託す
  • カドルッス:ブゾーニ司祭にダンテスが罠にはめられた経緯を話す
  • カルコント:カドルッスの妻
  • ボヴィル:刑務検察官。イギリス人商人に監獄の記録を見せる

 

  • アルベール・ド・モルセール:フェルナンとメルセデスの息子 
  • フランツ・デピネー:アルベールの友人。モンテ・クリスト島で船乗りシンドバットと称する紳士と出会う

 

  •   ルイジ・ヴァンパ:山賊の親分。船乗りシンドバットと関係がある

 

◆あらすじ

1.脱獄、そして宝島へ

 「モンテ・クリスト島を忘れるなよ!」こう言い残して、ファリア司祭は病で息を引き取ります。またもや一人ぼっちになり絶望するダンテス。しかしある考えが浮かびます。

 

死体は袋に包まれ外に運び出され埋葬されます。そこでダンテスは袋の中の死体と入れ替わり、脱獄を図ろうとしたのです。

 

ダンテスは袋の中でその時を待ち続けます。やがて人夫により袋が運び出され、そのまま崖から海へ投げ捨てられました。とうとうシャトーディフから脱獄することに成功したのです!時は1829年。投獄されてから14年が経っていました。

 

ダンテスは命からがら真夜中の海を泳ぎ続け、ティブラン島にたどり着きます。そして偶然通りかかった密輸船ジュヌ・アメリー号に助け出され、しばらくの間彼らと共に密輸業に手を染めます。ダンテスの航海技術が買われ、彼らの信頼を得ることができたのです。

 

そんな中、密輸業者間の交易の中立地帯として、期せずしてモンテ・クリスト島に上陸することになります。ダンテスは仲間を欺き、一人で島に残り宝さがしを始めます。そして苦労の末、ようやく宝を見つけることに成功したのです。

  

2.仇敵たち

 莫大な富を手にしたダンテスは、司祭に変装し昔の友人カドルッスに会いに行きます。牢屋に幽閉されてから長い歳月が経ち、ダンテスの容貌はすっかり変わってしまっていました。そのためカドルッスは司祭がダンテスだとは気づきません。 

 

司祭に扮したダンテスはカドルッスからダングラール、フェルナンのかつての悪だくみを聞き出し、更に彼らの現況に驚かされます。ダングラールは 銀行家として成功し男爵に。フェルナンに至っては軍人として成功しモルセール伯爵となり、こともあろうにメルセデスを妻としていたのです。

 

またダンテスはトムソンアンドフレンチ商会のイギリス人商人に扮し、刑務検察官のボヴィルから刑務所のダンテスの記録を見せてもらいます。そこにはダンテスが脱獄を図り海に落ちて死亡したこと、そしてヴィルフォールがダンテスの逮捕に深く関与していた形跡が記されていました。

 

ダンテスは改めてダングラール、フェルナン、ヴィルフォールに燃えるような復讐の念を抱きます。

 

一方、一貫してダンテスの味方だった船主のモレルは、所有する全ての船が遭難に会い破産寸前となってました。ダンテスはトムソンアンドフレンチ商会のイギリス人商人としてモレルに近づき彼の窮地を救います。そしてヨットに乗り込みマルセイユの町を去っていったのでした。

 

3.青年貴族と不思議な紳士

時は1838年、舞台はイタリアに代わり、二人のフランス人青年貴族、アルベールとフランツの話となります。

 

フランツはフィレンツェに滞在中、余暇でモンテ・クリスト島に上陸しますが、そこで「船乗りシンドバッド」と名乗る不思議な紳士に出会います。フランツは目隠しをされた上で、シンドバッドの地下宮殿に招待され、豪勢な食事や大麻の歓待を受けたのです。

 

その後フランツはアルベールと共に謝肉祭を過ごすため、ローマのホテルに滞在します。そこで宿の主人からルイジ・バンパという名の恐ろしい山賊の話を聞かされます。またフランツはこのルイジ・バンパと船乗りシンドバットの間に何か関係があることを知り驚きます。

 

その夜、フランツとアルベールはコロッセオ観光に出かけます。フランツはそこで二人の男の会話を立ち聞きします。二人は明日公開死刑となる山賊を助ける手立てについて話し合っていたのでした。二人の姿は見えませんでしたが、フランツはその内の一人の声に聞き覚えがあまり、彼をモンテ・クリスト島で出会った船乗りシンドバットだと信じます。

 

次の日の夜、フランツとアルベールは劇場に出かけます。フランツは桟敷席にギリシャ人と思しき美しい女性を見つけ目を奪われますが、隣の連れ添いの紳士を見て驚きます。彼こそは船乗りシンドバッドその人だったのです。やはりシンドバットはローマに来ていたのです。

 

ホテルに戻るとモンテ・クリスト伯と名乗る宿泊客から謝肉祭に使う馬車と見学のための窓を差し上げたいとの申し出がありました。フランツとアルベールは謝肉祭で使用する馬車の予約が取れずに困っていたのです。翌朝二人はお礼のためその男の部屋を訪れます。部屋の主人が現れると、そこにいたのはモンテ・クリスト島で見た船乗りシンドバッド、劇場で見た紳士、まさにその人だったのです。 

◆感想

1.善人は救われる!

第二巻の一番の見せ所は通常は手に汗握る脱獄シーンと宝の発見だと思いますが、あまりにも有名なのでそれほどの印象はありませんでした。

 

それよりも印象に残ったのはモレル氏を破産から助ける場面です。モレル氏はダンテスが逮捕された後も、自分の身の危険も顧みず、ダンテスの父親の面倒を見ていました。こういう善行を積んだ人が最後は救われるという話は、我々の感情に自然と入ってきて、スカッとしますね。特にボロボロのお財布の話は感動しました。詳しい話はぜひ小説を読んでくださいね。

 

モレル氏を助けたダンテスはヨットに乗ってマルセイユをから旅立ちます。最後の言葉が印象的です。

 なさけよ、人道よ、恩義よ、さようなら・・・ 人の心を喜ばすすべての感情よ、さようなら! ・・・わたしは善人に報ゆるため、神に代わっておこなった・・・さて、いまこそは復讐の神よ、悪しきものを懲らすため、御身に代わっておこなわしたまえ!(山内義雄訳)

やさしいダンテスとはこれでお別れです。ついに復讐が始まるのです…と思ったら、肩透かしを食らいましたが・・・。

 

2.復讐の話はまだまだ先

急に話がアルベールとフランツという青年貴族の話にかわり、いったい復讐の話はどうなったんだい?という気分になります。と言うのも2人が今までの話とどう関係があるのか最初は分かりません。注意深く読んでいればアルベール・ド・モルセールという名前から、モルセール伯爵(フェルナン)とメルセデスの子供とうことに気づく人もいるでしょう。でもhirozonは記憶力が悪いのでモルセールって誰だっけ?という感じでなかなか分かりませんでした。

 

この後も山賊の話が挿入されたり、早く先を知りたい読者としては、どうでもよい話を聞かされている感じがします。でもこれも復讐の伏線となっているので、先を急がず楽しみながら読みましょう。

 

3.ダンテスのキャラが怖い人に

 モンテ・クリスト島の地下宮殿でアリという黒人奴隷がでてきます。彼はチュニス後宮を通ったという理由で王の怒りを買い、一日目に舌を、二日目に手を、三日目に首を切られて死刑になる運命でした。それを聞いたシンドバッド(=ダンテス)は「ちょうど口の聞けない奴隷が欲しかったんだよね」と思い、二日目に銃と交換で唖となった奴隷を手に入れたのです。長い牢獄生活がダンテスをサディストに変えてしまったのでしょうかね?

 

黒人と言えば、作者のアレクサンドル・デュマ・ペールにも黒人の血が流れています。おじいさんが農場経営で現在のハイチに赴き、そこで黒人奴隷との間にできた子供がデュマのお父さんだったんですね。ひょっとしたらアリの作中での扱いも、こうしたデュマの出自と関係があるのかもしれません。

 

今日はここまでです。続きはまた。

 

 

モンテ・クリスト伯① 無実の罪で投獄された男

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モンテ・クリスト伯を知ってますか?

 

日本では昔から「岩窟王」の名前で紹介され、児童向けの抄訳で読んだ方もいらっしゃるかと思います。最近はディーン・フジオカさんの主演でドラマ化もされましたね。

 

でもこの小説、本当は文庫本で全7冊(岩波文庫版)もある、とても長い小説なんです。

 

「無実の男が陰謀により孤島の牢獄に幽閉される。決死の脱獄、そして復讐のため仇敵のもとに別人となって現れる・・・」

 

これだけ読んでもわくわくしますね。実際読み始めると長編であることを忘れ、あっという間に読んでしまいます。

 

拘置所カルロス・ゴーンさんにも是非お勧めしたい!出所後は本当に復讐しそうで日産の役員さんも戦線恐慌でしょうね。ゴーンさんが無実かどうかは知る由もありませんが・・・。 

 

今回は全7冊のうちでも一押しの第1巻(岩波文庫版)をご紹介します。

 

◆主な登場人物

 

ダンテスの仲間

  • エドモン・ダンテス:物語の主人公 貿易船ファラオン号の一等運転士

  • ダンテスの父親:息子の無実を信じながら無念のうちこの世を去る

  • メルセデス:ダンテスの許嫁

  • モレル:ファラオン号の船主 ダンテスを船長に指名しようとする

  • ルクレール:ファラオン号の船長 ダンテスに手紙を託し死亡

  • ファリア司祭:牢獄でダンテスと知り合い、宝のありかを教える

ダンテスの敵

  • ダングラール:ファラオン号の会計士 ダンテスを罠にはめる

  • フェルナン:メルセデスに恋心をいだき、ダンテスに嫉妬

  • ヴィルフォール:検事代理 保身のためにダンテスを牢獄に送る

ヴィルフォールの家族

その他

  • カドルッス:ダングラールの悪だくみを知りながらダンマリを決め込む

  • ケネル将軍:王党派の軍人 ノワルティエに暗殺される 

 

◆あらすじ  

 

主人公ダンテスはファラオン号の一等運転士。船主のモレル氏からの信任も厚く次期船長候補です。美しい娘メルセデスとの婚約も決まっており明るい未来が約束されています。

 

しかし許婚式の最中、突然警察が現れダンテスは逮捕されてしまいます。実は密かに船長の座を狙っていた同僚のダングラールと、メルセデスに恋心をいだいていたフェルナンが、ダンテスを陥れるため嘘の告訴状を書いたのでした。

 

ダンテスは検事代理ヴェルフォールの尋問を受けることになります。最初ヴェルフォールはダンテスの無実を確信し、釈放しようとします。ところがダンテスの口から意外な人物の名前を聞かされ驚愕します。それはヴィルフォールの父親ノワルティエの名前だったのです。

 

熱烈なボナパルト派だったノワルティエはエルバ島島流しとなっていたナポレオンと密通し、王に謀反を企てていたのでした。

 

時代は復古王政の時代です。こんな事が世間に知れれば息子のヴィルフォール自身が失脚してしまいます。そこでダンテスの口を封じるため、彼を孤島の牢獄シャトーディフに幽閉してしまいます。

 

長い年月が経ち、やがてダンテスは獄中で囚人のファリオ司祭と知り合うことになります。

 

賢明なファリオ司祭はダンテスの話を聞き、ダングラール、フェルナン、ヴィルフォールがダンテスを罠に陥れたことを看破します。

 

自分の身になにが起こったのかようやく理解し、復讐の心を抱き始めたダンテス! 

 

その後二人はシャトーディフから脱獄を企てますが、ファリオ司祭が発病し脱獄を一度は諦めます。余命いくばくもない事を悟ったファリオ司祭はダンテスに一枚の古びた紙を託します。そこには15世紀の資産家スパダが隠した莫大な宝のありかが記されていたのでした。

 

◆感想

第一巻の大まかなあらすじだけでも盛沢山ですよね。登場人物も大勢でてきて整理するのも大変ですが、思ったことを3つにまとめてみました。

 

1.息もつかせぬストーリー展開

 この小説が読者を引き付けることに成功した理由は、一番の見せ場を物語の前半にもってきたことでしょう。主人公が出世・結婚という幸福の絶頂から一転地獄に突き落とされるというわかりやすい展開は、読者が共感しやすく、「復讐」というに動機に自然と感情移入するような構成になっています。

 

また細かい感情表現を省き出来事が次から次へと展開していく様は、スピード感があり、読者は知らず知らずのうちに物語の中に引き込まれていきます。

 

ところで皆さんも復讐したいやつの一人や二人はいるでしょう?hirozonも会社に3人はいます。でもこういうのに限って偉くなるんですよね。あれ、何でですかねぇ?この物語の悪役3人も大出世しますが、その話はまた今度。

 

2.時代に翻弄される主役たち

 物語に実際に起こった歴史的事件を取り入れ、登場人物が否応無しに時代に翻弄される様を描いています。こういった描写は当時のフランス人にとってリアリティがあり、共感を得やすかったのではないでしょうか。

  

18世紀後半から19世紀中ごろまでのフランスは政治的に大混乱の時代でした。

 

フランス革命 → 第一共和制 → 第一帝政(ナポレオン) → 復古王政(ルイ18世) →百日天下(ナポレオン) → 復古王政(ルイ18世復位、シャルル10世)→立憲君主制(7月革命・ルイ・フィリップ)→第二共和制(二月革命)→第二帝政(ナポレオン3世)→第三共和制

 

目まぐるしく時の権力者が変わる中、誰の味方につくかによって多くの人の運命が左右されたことでしょう。小説が新聞に連載されたのは1844年から1846年でしたが、ダンテスやヴィルフォールが自分の意志とは関係なく時代に翻弄される様は、当時のフランス人にとって感情移入しやすいテーマだったはずです。

 

ダンテスを監獄送りにした検察代理ヴィルフォールも、好き好んで悪事を働いたわけではありません。ボナパルト派の父親ノワルティエとエルバ島のナポレオンとの密通が発覚するのを恐れ、口封じのための苦渋の選択だったのです。

 

このお父さんのせいで、ヴィルフォールは王党派の姑サン・メラン侯爵夫人から散々嫌味を言われるは、ケネル将軍の暗殺でひやひやさせられるは、たまったものではありません。

 

ヴィルフォールの嘆きを聞いてあげましょう。

ああお父さん、お父さん、あなたはこの世にあって、いつまでこの私の幸福の邪魔をしようとなさるのです?わたしは永久にあなたの過去と闘わなければならないのですか?(山内義雄訳)

 

 何だか可哀そうな気もしますが、ボナパルト派の父親と王党派の息子の確執は、この物語の後半まですっと重要な伏線となります。

 

3.海と宝島

主人公ダンテスを船乗に設定したのもグッドアイデアだったと思います。孤島シャトーディフからの脱獄、海賊との出会い、モンテクリスト島の宝さがしといった、スティーヴンソンの「宝島」のような海洋冒険小説の要素が加り、そこが子供向けの抄訳で広く普及した理由だと思います。

 

ルネサンス時代の大金持ちスパダが宝を隠した理由も面白かったですね。アレクサンドル6世やチェーザレ・ボルジアといった実在の人物も登場し、いかにも本当らしさを演出します。ダンテスも最初は信じていませんでしたが、だんだん「本当っぽいぞ・・」と思い始めたようですし。

 

でも宝さがしの前に、まずは脱獄しないとね。ということで続きはまた今度。

 

 

モンテ・クリスト伯〈1〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈1〉 (岩波文庫)

 

 

 

名作小説のあらすじと感想のブログをはじめました

はめまして。hirozonと申します。

 

すでに出世の道を断たれたサラリーマン。

独身の寂しいおじさん。退屈な日々を無為に過ごす暇人・・・と何やら 憐れみを誘う自己紹介で始まりましたが、こんなhirozonにも生きる希望はあるのです。

 

それは読書!

 

「兎角に人の世は生きにくい」ので、会社から帰ると思いっきり読書の世界に逃避行です。 

 

頭の中は古今東西の英知でぎっしり・・・と言いたいところですが、 小生の記憶力の悪さは定評があり、日常人様からも「その話、前にも言ったよね(怒)」と毒づかれます。(特に女性に多し)

 

そもそも言われたかどうか覚えていないので、返事に窮するのですが。

 

こんな調子で読んだ本の内容も次から次へと忘却の彼方へと消え去っていくのです。

 

膨大な時間を費やしたにもかかわらず、頭に何も残っていないのでは、ガソリンをいれてもタンクに穴が空いた車と同じ。

 

そこで本を読むだけでなく、内容と感想をまとめて記憶にとどめよう、更に興味のある方に読んでいただこうとブログにチャレンジすることにしました。

 

 

ちなみに最近読んだ本をご紹介すると、こんな感じです。

 

2015年 戦争と平和1〜4(トルストイ

 

2016年 物語イギリスの歴史 上下(君塚直隆)

    カペー朝フランス王朝史1(佐藤賢一

    ヴァロア朝フランス王朝史2(佐藤賢一

    昭和陸軍全史1〜3(川田稔)

    草枕夏目漱石

    それから(夏目漱石

    三四郎夏目漱石

    門(夏目漱石

    アンナ・カレーニナ 上中下(トルストイ

 

2017年 イリアス  上下(ホメロス

    オデュッセイア 上下(ホメロス

    金閣寺三島由紀夫

    ゴリオ爺さんバルザック

    吾輩は猫である夏目漱石

    嵐が丘エミリー・ブロンテ

    応仁の乱(呉座勇一)

    異邦人(カミュ

    神曲 地獄編、煉獄編、天国編(ダンテ)

    マクベスシェイクスピア

 

2018年 関ケ原 上中下(司馬遼太郎

    リア王シェイクスピア

    ヴェニスの商人シェイクスピア

    物語フランス革命安達正勝

    翔ぶが如く1〜10(司馬遼太郎

    アルジャーノンに花束をダニエル・キイス

    モンテ・クリスト伯1〜7(デュマ)

 

全部で27作品(57冊)!

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本の記念撮影

 読書リストを眺めるとある種の傾向が見えてきました。

 

◆傾向1:小説と歴史関係しか読んでいない

  hirozonは一応サラリーマンです。ですから多少はビジネス書がリストアップされそうなものですがまったくありませんね。自分でも唖然とします。ビジネスマンとしては終わっているかも・・(笑)
 
 

◆傾向2:なが〜い本が好き?

 別に好きではないです。
読みたい本がなぜか長いだけです。
でも以前にも塩野七生の「ローマ人の物語」や司馬遼太郎の「坂の上の雲」「竜馬が行く」にはまっていたので本質的になが〜い本に惹かれてしまう体質なのかも。
      
 

◆傾向3:小説は定番の名作ばかり

 はい、その通りです。

hirozonは普遍的な価値を持つものが好きです。

いつの時代でも色褪せない、100年後もおそらく世界中で読まれている本を意図的に選んでいます。

     

この世に生まれたからには、人類が作り上げた最高の宝を思う存分味わいたいと思っているのです。

       

 

◆傾向4:ちょっと難しい本が多い

確かに実力以上に背伸びしたがる性格ではあります。

例えるなら偏差値40の学生が偏差値70の大学を狙うような。 

 

でも人生はチャレンジ

身の丈以上の事に挑戦しないと、人間大きくなれません!・・・と大きくなれなかったhirozonが言っても説得力ありませんが。

  

 

◆傾向5:文庫本と新書だけ 

 別に文庫と新書しか読まない主義という訳ではありません。ただ貧乏性なだけです。塩野七生ギリシア人の物語や十字軍物語も早く読みたいのですが、文庫本が出るまで我慢中です。

 

以上5つの傾向から一つの人物像を作り上げると、自分をインテリと思い、実力以上に大きく見せかけ、吝嗇家(けち)といったところでしょうか。なんか嫌な人物像ですね。(実物はいい人です。自称ですが)

 

これから少しずつ本のあらすじや、思ったことを徒然なるままに書き留めていこうと思っています。

  

 hirozonの読書履歴を見て、「なんか自分と趣味が合いそう」と思った方、あるいはそうでなかった方も、ぜひブログに遊びに来てくださいね。

 

よろしくお願いします。