世界の小説 名作探訪

小説のあらずじ・感想を思いつくままに綴ります

モンテ・クリスト伯⑥ 復讐のはじまり

f:id:hirozontan:20190224120454j:plain

 

 

モンテ・クリスト伯」はダングラール、フェルナン、ヴィルフォールの3悪党の家族のなが〜い四方山話を経て、第六巻から待ちに待った復讐劇が始まります。本当にここまで長かったですね(笑)。モンテ・クリスト伯がどのような復讐を企てるのか、ここからがクライマックスです!

 

 でもその前にカドルッスがどうなったのか見てみましょう。

カドルッスの最後

カドルッスはダンテスの仇敵ではありません。第一巻ではダングラールとフェルナンの悪だくみを知り義憤を感じますが、自分に害が及ぶのを恐れて、見て見ぬふりをしてしまうという役どころでしたね。第二巻ではブゾーニ司祭に変装したダンテスにダングラールとフェルナンの悪だくみを暴露し、ダイヤモンドをもらっています。ところが欲に目がくらんだカドルッスはこのダイヤがきっかけで宝石商を殺害し、刑務所送りとなってしまいます。

 

刑務所でカドルッスはベネデットと知り合い、脱獄を図ります。しかし脱獄後カドルッスが貧乏でみじめな暮らしをしているのに対し、ベネデットモンテ・クリスト伯の計らいでアンドレア・カヴァルカンティを名乗り、貴族のような羽振りの良い生活を始めます。

 

当然カドルッスは面白くありません。そこでベネディクトをゆすり、金の無心をするようになります。更にベネデットの後ろ盾がモンテ・クリスト伯なる大金持ちであることを知り、伯爵邸に忍び込み強盗殺人を企てるのです。

 

ところがカドルッスが屋敷に忍び込むと、そこにいたのはかつて彼にダイヤをくれたブゾーニ司祭だったのです(もちろんモンテ・クリスト伯の変装)カドルッスは驚き、屋敷から逃げだしますが、塀の外に隠れていたベネデットに刺されてしまいます。彼はカドルッスの存在が邪魔になり最初から殺す計画を立てていたのです。

 

瀕死のカドルッスはブゾーニ司祭に、ベネデットという名の男に刺されたこと、その男はカヴァルカンティを名乗っていることを告げて死んでいくのでした。

 

復讐その1 モルセール伯の場合

さて、第五巻で「ジャニナの要塞はフェルナンという名のフランス人士官の裏切りにより陥落した」とう新聞記事をめぐってアルベールとボーシャンは決闘騒ぎとなりました。「フェルナン」とは父親モルセール伯のことだとアルベールは思い、家族に対する侮辱と感じたのです。一方ボーシャンはその真偽を確かめるためジャニナに赴きます。しかしその結果はアルベールを落胆させるものでした。新聞記事は正しかったのです。ボーシャンはこの秘密は絶対に口外しないとアルベールに誓います。

 

その後アルベールはモンテ・クリスト伯に誘われノルマンディー旅行に出かけます。ところが二人が目的地に着くと、ボーシャンから緊急の知らせがはいります。「ジャニナ城を敵に渡したフェルナンという名の男は貴族院議員モルセール伯爵である」と別の新聞社が暴露したというのです。

 

モルセール伯は議会で身の潔白を証明する必要に迫られますが、それは成功するかのように見えました。ところがモンテ・クリスト伯の女奴隷エデが現れ、モルセール伯こそがジャニナの要塞を敵に渡し、自分を奴隷として売ったフェルナン・モンデゴその人だと証言したのです。大勢の貴族院議員が見守る中、モルセール伯の過去の悪事が白日のもとに晒されました。

 

アルベールは暴露記事の背後にダングラールがいることを知り、彼に詰問します。ところがダングラールはモンテ・クリスト伯の入れ知恵で動いていたのです。本当の敵はモンテ・クリスト伯だったことが明らかになったのです。

 

アルベールは怒りに任せ伯爵に決闘を申し込みます。伯爵もこれに応じアルベールを殺す準備をします。しかし決闘前夜、アルベールの母親メルセデスが伯爵の前に現れ、驚いたことに「エドモン・ダンテスさん」と彼の本当の名前で語りかけたのです。彼女はモンテ・クリスト伯がダンテスだということを最初から気づいていたのです。メルセデスは「罪は夫と自分だけにある。息子の命を助けてほしい」と懇願します。伯爵は情にほだされついついアルベールの命を助けること、そしてアルベールの代わりに自分が決闘で命を落とすことをメルセデスに誓ってしまいます。

 

決闘の朝がきました。立会人としてボーシャン、シャトー・ルノー、ドブレー、フランツ、マクシミリヤン、エマニュエルがやってきます。ところが決闘は直前に回避されます。実はメルセデスが過去のいきさつを全てアルベールに話したことにより、アルベールはモンテ・クリスト伯に謝罪をし、決闘を取りやめたのです。

 

アルベールは父親の悪行を恥じ、モルセールの名と財産を捨て、母親メルセデスと共に家を出ていくことを決意します。

 

モルセール伯は息子が決闘を回避したことを知り、自らモンテ・クリスト伯邸を訪ね、決闘を申し込みます。しかしモンテ・クリスト伯が船乗りの姿をして現れると、モルセール伯は、モンテ・クリスト伯の本当の正体、かれがエドモン・ダンテスだということに気づき、逃げるように屋敷に戻ります。

 

ちょうどその時メルセデスとアルベールは屋敷を捨て、出ていくところでした。モルセール伯ことフェルナン・モンデゴは社会的地位、名誉、そして家族全てを失い、失意の中ピストルで最後を遂げたのでした。

 

ヴァランティーヌの危機

 決闘の後、マクシミリヤンはヴァランティーヌのもとを訪れます。ところが彼女の顔色は悪く、ここ数日体調を崩しているようでした。そして意識が朦朧とする中、階段を踏み外し、ついに意識を失ってしまいます。実は彼女が飲んだ水差しに毒が盛られていたのです。

 

しかしヴァランティーヌは奇跡的に一命をとりとめます。実は祖父のノワルティエが彼女を助けるため、数日前から少量の毒のはいった水薬を彼女に与え、毒薬に慣れさせていたのです。

 

一方マクシミリヤンはヴァランティーヌのもとを去り、モンテ・クリスト伯に助けを求めに行きます。しかし伯爵の態度は冷たいものでした。「見ぬふりをして、神の裁きに任せるように」と忠告したのです。マクシミリヤンはヴァランティーヌを愛していると本心を告げます。するといつも冷静なモンテ・クリスト伯が声を荒げて激昂します。「あの呪われた一族の娘が好きだとは!」

 

マクシミリヤンは伯爵の急変した態度に驚きます。しかしモンテ・クリスト伯はすぐに冷静さを取り戻し「希望をおもちなさい。今ヴァランティーヌさんが生きておいでだったら、これからも死なずにすむでしょう」と彼女の命を保証するのでした。

ユージェニーとカヴァルカンティの結婚

 一方ダングラール家では娘のユージェニーとアンドレア・カヴァルカンティの結婚の準備が進んでいました。ところがユージェニーは結婚する気がないことを父親に告げます。彼女は自分が美しく芸術の才能があり父親の財産があるため、自立して生きていけると言うのです。傲慢な女ですね・・(笑)。 しかし実際にはダングラールは破産しかかっており、大金持ちと思しきカヴァルカンティと娘を結婚させる必要があったのです。

 

ユージェニーは事情を理解し結婚することは承認しますが、その後は自分の思い通りにさせてもらうと父親に認めさせます。彼女には何か企みがあるようです。

 

結婚契約書の署名式の日、ダングラール家には社交界の人々が大勢集まってきました。その最中、突然警察官が現れ場は騒然となります。「カヴァルカンティさんはいますか?彼は脱獄囚です。モンテ・クリスト伯邸でカドルッスを殺した罪で告発されています!」ところがカヴァルカンティの姿はありません。 彼は自分の身の危険を感じ、すでにその場から逃げだしていたのです。

 

一方ユージェニーもかねてから企てていた計画を実行します。友人のダルミー嬢と家を飛び出しイタリアに向かおうとしていたのです。

 

カヴァルカンティことベネデットはパリを北上し、コンピエールのホテルで一夜を明かします。ところが朝目を覚ますとホテルはすでに憲兵に取り囲まれていました。煙突から屋根上に脱出したものの、いずれは見つかってしまいます。そこで別の煙突に忍び込み姿を隠そうとしますが、途中で部屋に落ちてしまいます。その部屋に宿泊していたのは、同じくパリから脱出を企てていたユージェニーとダルミー嬢だったのです・・。

 

名運尽きたベネデットはとうとう捕まり、コンシェルジェリー監獄に収監されるのでした。

 

最後の煙突から落ちる場面は笑えるオチでしたね。それにしても仇敵のモルセール伯が自殺に追い込まれたのはしょうがないとしても、何の罪もない息子のアルベールを追い詰めたのは可哀そうでした。それにメルセデスも貧しく孤独の身のためフェルナンと結婚したのであって、彼女を責めるわけにはいかないでしょう。ちょっとモンテさんはやりすぎのような気がしますが、皆さんはどう思いましたか?

 

さて後は第七巻を残すのみとなりました。ヴィルフォールとダングラールの運命はいかに?

 

モンテ・クリスト伯〈6〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈6〉 (岩波文庫)