世界の小説 名作探訪

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カミュ「ペスト」 不条理な世界との戦い方<1>

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 会社、辞めたい・・・・・。

 

hirozonの職場に新しい上司がやってきたのですが、こいつが人格異常者のパワハラ上司だったのです!

 

膨大な量の仕事はすべて部下に丸投げ。延々に続く支離滅裂なお説教。人の意見は一切聞かず、唯我独尊。そのくせ何の決断もない。話が長いわりに不明確なので、何度もやり直しが続き、無駄に時間だけが過ぎていきます。こちらは上司の意図を組んでいるつもりなので、「では具体的にどうしらよいですか?」と聞くと「それはあなたの考えることだろう!!」と逆切れ・・・・。

 

そう!この上司は今まで平穏な日常に突然現れたペストであり、hirozonの生存を脅かす病原菌なのです。サラリーマンの一生は不条理の連続。この窮状をどう克服するべきか?

 

この問いに答えてくれるかどうかはわかりませんが、カミュの小説「ペスト」も不条理に襲われたオランという町を舞台に、さまざまな人物が危機を乗り越えようとします。

 

第二次大戦中にパリを占領したナチスをペストとして隠喩しているというのが定説ですが、ペストはそれに留まらず、あらゆる悪、天災、悲劇を表現しているように感じます。それゆえにこの小説が普遍性を持ち、不朽の名作となった理由があるのでしょう。

 

ではhirozonが己のサラリーマン人生と二重写しにして涙しながら読んだ「ペスト」のあらすじをご紹介します。

 

あらすじ 

悲劇の始まりは一匹のネズミの死体からだった

 

所はアルジェリアのオランという町。ある日の朝、主人公の医師リウーがアパートで一匹の死んだネズミを見つけます。門番のミッシェル老人は「誰かがいたずらでネズミを外から持ってきたのだろう」と気にもかけません。

 

ところが夕方リウーは再び廊下で血を吐きながら死んでいくネズミを見つけます。その様子を見て彼の頭に浮かんだことは、妻の病気のことでした。リウーの妻は病気を患っており、明日リウーと別れて療養所に旅立つことになっていたのです。

 

妻が療養のため旅立った翌日、リウーは門番のミッシェル老人が途方に暮れているのを見つけます。ネズミの死体が10匹もアパートに散乱していたのです。しだいに町にはネズミの死体があふれ始め、市民は次第に不安になりかけていました。その後ミッシェル老人は高熱を出し、リウーの介護もむなしく死んでしまいます。

 

しかしミッシェル老人の死は悲劇の最初の兆候にすぎませんでした。その後死者は増え続けていったのです。死者の症状からリウーと友人の医師カステルはこの熱病がペストであると確信するに至ります。

 

リウーは県庁に保健委員会を招集してもらい、この事態に対処しようとします。ところが会議が開かれると、有力者である医師会会長のリシャールは町が混乱することを恐れ熱病をペストと認めることに躊躇し、分析の結果を待つべきだと主張します。

 

それに対しリウーはこう述べます。

諸君がこれをペストと呼ぶか、あるいは知恵熱と呼ぶかは、たいして重要なことではありません。重要なことは、ただ、それによって市民の半数を死滅さられることを防ぎとめることです

 

これに対しリシャールはペストであるかどうかが判明しなければ、法的な措置をとることができないと反論します。

この病を終息させるためには、もしそれが自然に終息しないとしたら、はっきり法律によって規定された重大な予防措置を適用しなければならぬ。そうするためには、それがペストであることを公に確認する必要がある

  

知事もペストかどうかがはっきりしなければ、行政上の処置をとることができないと述べます。

 私としては、それがペストという流行病であることを、皆さんが公に認めてくださることが重要です。

 

それに対しリウーは言います。

われわれがそれを認めなかったとしても、それは依然として市民を死滅させる危険をもっています。 

 

ペストがどうかに拘るリシャールと知事に対し、言葉の定義ではなく、これ以上死者を増やさないための対策を講じるべきだと主張するリウー。

 

医者たちの話し合いの結果、リシャールの玉虫色の言葉で落ちつくことになります。

つまりわれわれは、この病があたかもペストであるかのごとくふるまうという責任をおわねばならぬわけです。

 

 ところが県庁の対応はリウーの考えていたものとは異なり、控えめなものに終始します。世論を不安にさせまいという事なかれ主義の心理が働いていたのです。

 

一方死者の数は日に日に増加していきました。リウーは急増する患者を救うため奔走しますが、ついに知事に電話をかけ今の措置では不十分だと訴えます。知事は総督府に命令を仰ぎますが、その結果ペストの宣言がなされ、町の完全な閉鎖が決定されます。

 

こうしてオラン市と周りの町との往来は一切は遮断され、オランにとり残された人々は家族、恋人といった親しい人々と離れ離れになってしまったのです。リウーも療養に向かった妻と再会することができなくなってしまいます。

 

と、出だしはこんな感じの話です。続きが知りたいですよね?

 

小説「ペスト」には多くの魅力的な人物が登場し、ペストという不条理に対し、各々がそれぞれのやり方でこの難局に対処しようとします。

 

恋人と再会するため町から脱出を図る新聞記者リシャール。ペストの到来を人間が罪を犯した結果だと説くパヌルー神父。ペストの到来を喜ぶ密売人コタール。そして保険隊を組織してリウーと共にペストと戦うタルー。

 

主な登場人物ごとに不条理な世界での戦い方を見ていきます。

 

でも今日はここまで。続きはまた。

 

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ペスト (新潮文庫)

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